【講演会レポート】『大切な人を亡くした悲しみ』

『ことのは』設立記念 オンライン講演開催
❚ 『ことのは』設立記念 オンライン講演開催

2020年10月21日(水)『ことのは』設立記念、『大切な人を亡くした悲しみ~こころの言葉に耳を傾けて』と題しグリーフケアオンライン講演会を開催しました。『ことのは』は、2020年9月より活動の一歩を踏み出しました。

グリーフケアが広まることを願い、今回の講演会はグリーフケアの第一人者、上智大学グリーフケア研究所特任所長の髙木慶子氏をお迎えし「グリーフ」と「グリーフケア」についてご講演いただきました。

 喪失と悲嘆~かなしみとは

講演会のテーマ~こころの言葉に耳を傾けて~は、『ことのは』にとって大切にしたいことの一つでもあります。

髙木先生より
「こころの言葉に耳を傾けるということ」は、自分自身の心の言葉に耳を傾けると同時に周囲の人たちも「その方の心がどのような悲しみにあるか?」
ということに耳を傾けることが大切と、おはなしいただきました。

髙木先生は35年間、ターミナル(終末期)ケアとグリーフケアを行っていらっしゃいます。
今までたくさんの方の「悲しみ・苦しみ」をきくなかで、おはなしを聞くことしかできず「なんて無力なんだろう」と感じることも多かったと仰っていました。

それぞれの方が、「その方なりのそれぞれの悲しみ」をもっていらっしゃるということ。
穏やかにおはなしされる髙木先生の言葉には、一つ一つ重みがありつつ優しさが詰まっていました。

髙木先生の書籍『グリーフケア入門』他、多数あります。
今回『でんでんむしのかなしみ』の絵本をご紹介頂き、グリーフ(悲嘆)について分かりやすくおはなし頂きました。ごんきづね等で知られている新美南吉さんの児童文学作品です。
お子さんへグリーフの感情を伝えたいとき、一緒に読みたい一冊です。


 毎日の生活や人間関係のなかで、相手を労わり思いやりをもつことが “ グリーフケア”

グリーフは広い意味では「その人にとって大切なものを失くすこと」です。死別・離別の他、病気や事故で身体の一部を失くすなどの大きな悲嘆から、住み慣れた土地を離れたり災害で家を失くす・自尊心(名誉を傷つけられる)の悲嘆もあります。

「誰もが悲しみをもっていて、グリーフは病的ではない、ごく自然な反応ですよ」

そう優しく微笑みながらお話する髙木先生の言葉に、勇気づけられた方も多いのではないでしょうか。

また、東日本大震災で被災しご両親・妹さんを亡くした青年と髙木先生との、グリーフケアを通じてのお話をお聞きしました。
同年代の子どもを持つスタッフとしては他人事とは思えず、胸がいっぱいになり、思わず涙がホロホロ流れました。


 時間の経過とともに…“ 時薬”

グリーフの状態はいつまで続くのか…悲しみの中にあるときはそんな気持ちになり、不安になる時があります。

髙木先生は、時薬という言葉の通り

「時間が経過するにしたがって、悲しみと一緒に生きていくことができるときが来ますよ」

と、優しくお話してくださいました。悲しみがなくなるわけではなく、心の中に抱きながら生きていくのですね。
気を付けたいのは、「時」というのはあくまでもその人それぞれの時間ということです。

グリーフを抱えているときは、季節感を感じなかったり食欲・睡眠もとれないときがありますが、
「お花をみたとき綺麗だな」「おいしいものを食べたとき、おいしいな」と感じることが出来るようになる時がきっと、きっと、きますと、おはなし下さいました。


❚ かなしいときは泣いていい

講演会の後半では、参加者からの下記の質問にお答えいただきました。
・お子さんへのグリーフケア
・自助グループへの参加について
・男性へのグリーフケアについて


親御さんを亡くされたお子さんへの接し方は、悩まれる方も多いのではないでしょうか。
子どものグリーフケアは、子どもと思いっきり遊ぶことが一番・子どもと一緒に身体をぶつけながらスキンシップをとる。

遊びながら「わたしはあなたを本当に大事に思っているのよ」と伝えることが最も大事・ケアをする方は、亡くなった親御さんに代わって抱きしめること。

しっかり悲しみを受け止めることが大切です



また、男性はグリーフの気持ちをなかなか表すことができないそうです。(とくに日本の男性は感情を表すことが苦手)お子さんが幼いころから、自分の気持ちを話したり素直に感情を出せるように。親子でコミュニケーションをとることも、大切なことだそうです。


❚ グリーフケア

最後にグリーフケアについて。

髙木先生は

「何かをする、してあげたではなく、尊敬と信頼をもってその人と一緒にとどまること」

と仰っていました。悲しみを抱える方のそばで、一緒に寄り添うことが一番大切。

私たちもグリーフケア・ネットワークぐんま『ことのは』のスタッフとして、髙木先生のお話をしっかり胸に止め活動していきます。

髙木先生
講演会へご参加くださった皆さま
本当に、ありがとうございました。

(講演会事前打ち合わせの様子)

あすかセレモ 株式会社 正田さま
有限会社 COCO-LO 雅楽川さま・丹羽さま 
ご協力ありがとうございました。


※この事業は赤い羽根共同募金の助成を受け実施しています※ 

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