【講演会レポート】「夜回り先生と考える命」

『ことのは』第2回特別講演会
❚ 『ことのは』 第2回特別講演会

2021年11月28日(日)  第2回特別講演会『夜回り先生と考える 命』と題しグリーフケアオンライン講演会を開催しました。
『ことのは』は、2020年9月より活動の一歩を踏み出し2年目を迎えます。

今回の講演会は、グリーフケアと「命」の観点から、夜回りを通じて、命に寄り添ってきた「夜回り先生」こと水谷修氏をお招きし、「生きること」「命とは」「グリーフとは」と、考えるきっかけとなればと思い開催いたしました。
当日は会場での講演会をライブ配信し、会場では満席の50名・オンライン(YouTube限定配信)では定員を超える100名を超えるお申込がありました。
群馬県だけでなく、北海道から沖縄まで、様々な地域からのご参加があったことに感謝いたします。


“ グリーフケア”が身近にある地域を目指して

グリーフは広い意味では「その人にとって大切なものを失くすこと」です。
死別・離別の他、病気や事故で身体の一部を失くすなどの大きな悲嘆から、虐待やいじめなどを受けた子どもは自尊心や自信といった自身の尊厳に関わる喪失によっておこる悲嘆があります。

事務局のNPO法人キッズバレイでは「若者や子育て世代」を支援する活動のなか、様々な人との関わりのなかで、「大切な人を亡くした悲しみ」をお話する場が少ない現実を知り、現在『ココロの言葉=言の葉』を大切にし、ことのはの活動としてグリーフケアの活動を行っています。

年に一度実施している講演会をきっかけに、参加者のみなさんと、グリーフケアについて考え、想いを共有できる場となるよう準備をすすめ、今回このように開催できたことに感謝しております。
ことのはサポーターさんも一緒に、準備をすすめて下さいました^^


  夜回り…“ 夜眠れない子どもたち”の悲鳴を受け止める

講演会のテーマ~夜回り先生と考える命~
この講演をきっかけに、たくさんの方へ『命』について考えるきっかけとなったのではないか?と感じます。

水谷先生は31年間、「深夜の繁華街のパトロール・夜回り」を行っていらっしゃいます。
桐生にお越しになる前日は、桐生のお隣の市「太田市」へ前泊をされ、夜回りを夜10時~朝の4時まで行っていたとのこと。
群馬県内でも、若年層を中心にドラッグという魔の手が忍び寄っている事実に、衝撃を受けました。
まさに命に向き合い、若者に寄り添い、救いの手を差し伸べていらっしゃるお姿がそこにはありました。
先生は、子どもたちの悲鳴、グリーフを受け止めていらっしゃるのだなと感じました。

今までたくさんの若者と向き合い、昼の世界へ導いた先生のお話は、1つ1つが胸に響き、重みのあるお話です。
会場では、講演中みなさんジッと息をのむように聴き入っていました。
ある参加者の方は「90分間、飲み物を飲むのも忘れていた、それくらい迫力のあるお話だった」、「今まで参加した講演会の中で一番心に残った」と感想をいただきました。


生徒と人間関係をつくるときは、『生徒の居場所』へ必ず行って人間関係をつくる。
愛や優しさや想いは、1組の人間がお互いを必要とし、支え合い頼り合い助け合う。
振り返ったときに積み重なって生まれるもの、それが『愛』、だから31年間夜回りを続けていると、お話下さいました。


  真っ白な心を持った子ども、腐った子どもなんていない

今回、事前に参加者の方へ先生への質問を頂いており、事前に先生へ共有させて頂きました。
ご質問を頂いた皆さま、ありがとうございました。
・夜回りのきっかけ
・先生の活動のエネルギーの源
・寄り添いについて

・・・等々。

講演中には、質問のお答を交えながら丁寧にお話下さいました。
32年前の水谷先生の教員時代のお話・夜回りをされるきっかけとなった夜間定時制高校での出来事・今まで出会った愛する生徒たちのエピソード・ドラッグの恐ろしさ….どれも貴重なお話です。

また、新型コロナウィルスの影響もあり、いま最も弱い子どもたちのもとに、この社会の全体のイライラが全部集約されているとお話くださいました。

子どもたちをとりまく環境、このコロナ禍により益々希薄になっている人間関係。
大人たちが強いストレスや不安を感じることで、子どものこころも不安定になっていきますね。


子どもたちは「4つの大きな問題」を私たち大人につきつけている。
「①いじめ ②不登校、ひきこもり ③心の病、リストカット、自殺 ④非行、犯罪、薬物乱用」
子どもたちの出している小さなサインに敏感に気づいてあげられるよう、私たちは子どもたちにしっかり意識を向けて見てあげたい、と感じました。


❚ “幸せな人しか人は幸せにできない ” 

水谷先生は仰います。
人は自分の人生は自分で歩かないといけない。
自分しか自分を救えない。
子どもを幸せにしたいのならば、親自身が幸せになること。

胸に響く言葉でした。

グリーフ(悲嘆)を抱えると、普段の生活が億劫になったり社会との「つながり」が断たれたような気持ちになったりします。
それは、大人も子どもも同じかもしれません。
「誰かに話したい」「聴いてほしい」
胸に募る想いをたくさん話して頂き、少しでも前に歩けるように。
大人になると立場もあり、悲しみに蓋をしてしまう方も多くいらっしゃいます。
『ことのは』では、安心してお話できるような場づくりをしていこう、少しでも多くの方に届けたいと感じました。



『あなたは大切
認められた子どもたちは、自分を責めたり命を絶つことをしなくなります。
水谷先生より、お父さん・お母さんたちへのお願い
「家庭で1日10個は、認めてあげる、褒めてあげる言葉かけをしてあげてください」
学校の先生へ
「1日10個は子どもたちが認めてもらえる、褒めてあげられる学校づくりをしてあげてください」


❚ 夜回り先生“いのちの授業 ”

講演会最後に水谷先生の「いのちの授業」
水谷先生は、参加している子どもたちへ向けて
「沖縄のガマのお話」をして下さいました。

戦争の猛烈な戦いのため、命を落とした人々。
子どもを守るために、大人たちが自分の命を投げ出し、自分の身で洞窟の入り口をふさぐ。
そして、生き残った、たった12名の赤ちゃんたち。
子どもを残し亡くなった方はどれだけ無念だったか、どれだけ熱かったか、どれだけ痛かったか。。。。
涙が止まらないお話でした。

子どもたちが生きていること、それは大人たちが「命の糸」を紡いでいき、助けられた命だということ。

命の尊さ

私たちもグリーフケア・ネットワークぐんま『ことのは』のスタッフとして、水谷先生のお話をしっかり胸に止め活動していきます。

水谷先生
講演会へご参加くださった皆さま
本当に、ありがとうございました。

(左より、 雅楽川さま 、正田さま、水谷先生、キッズバレイ星野代表理事)

あすかセレモ 株式会社 正田さま
有限会社 COCO-LO 雅楽川さま
いつもご協力を頂き、ありがとうございます。


※この事業は赤い羽根共同募金の助成を受け実施しています※ 

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